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服従・戦争・狂気。飼われる事を選んだ犬にとっては生きている時に求めていたスパイスが無くなったと言える。だが自分が、「その演目をやめろ」と言えば相手は人生の幕引きをする。嗚呼、なんてつまらない人間ばかりなのだろうか。そうグルッペンは思っていたのだが、目の前で態々甘味を作り出すAは前に殺されかけたというのに伸う伸うと楽しそうに生きているのを見て頬杖を突いた。
「A、食わせろ」
『介護ですか？』
「介護って言うのやめてくれないか」
適当に喋っているグルッペンだが、それに対してまた脳死で返していくA。最初はグルッペンの軽口に対しても命令として強く反映されていたが、今では慣れたのかそれともグルッペンが意図してAに効かないようにしているのか、Aはグルッペンのこのような適当な言葉ではAは脳を支配される事は無くなった。
そういえば甘い物が好きと言っていたから誕生日には一般家庭でケーキを食べるのが普通だと聞いた事があるAはアイスをグルッペンの口に押し込んで聞いた。
『そういえばグルッペンさん達の年齢って幾つなんです？聞いた事が無いなって』
「もう数えるのを忘れてしまったな。悠久の時を過ごしていたから。此処に連れて来られる記憶も全く無いからな」
『……その、誕生日とかも分からない感じですか』
「そうだな。鬱とシャオロンだけが唯一覚えていると言っていた。後は此処に連れられて来た日を便宜上この施設では誕生日という事にされているが。此処に来た人間には俺達の存在というのは歓迎されないものであったから」
『じゃあ今度の誕生日は甘くて美味しいショートケーキ作っちゃいますね！』
「はは、その時まで生きていてくれよ」
年齢も誕生日もどれもグルッペンにとっては聞かれたくない事であった。ズルズルと不老不死の身体にしやがってと地雷寸前であったし、聞いたのがAで無かったら喉を掻っ切られていただろう。だが、A自身がお祝いする気満々なので微笑ましく収束した。
「そういえばAの誕生日っていつなんだ？」
『……あれ、いつだろ。戸籍では17って事は分かってるんですけど、如何せん誕生日っていう概念が無いので私も忘れてるみたい……。あは、お揃いですね』
誕生日はAにとって何でもない日だったからそんかものは記憶していない。グルッペンは歪に笑うAを見て息を漏らした。
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