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「やっぱり動くなら筋トレやろ」
ロボロにとっては人間は運動不足というのは危険な事だというのをしっている。マスハラという言葉が似合うロボロという男はプロテインを片手にAを待ち構えていた。
「どこ行くねーん！！」
そんなロボロに嫌な予感がしてAはジリジリと後退する。前までは無かった馬鹿みたいな量のジムの器具にロボロは何処に隠し持っていたのだと逃亡したが、直ぐにAは捕まってしまった。
「Aは贅肉だけやなくて筋肉も無いんやから」
『もう既に疲れてクタクタなんだよ……』
「筋肉痛の時に動いたら元気になるって。それよりもAやったらこのトレーニングとかええんとちゃう？あ、これもA相手やったらええかもな。割とAやったら耐えれる耐えれる！」
そうAはロボロに先導されるままにトレーニング器具の前へと向かわされる事になる。それからはAにとっては地獄の始まり。終わらないスクワットに始まらない休憩に幾度と無くロボロを殺してやりたいという衝動に駆られた。泣きながら倒れ込むAにこの程度で終わるのかと布越しに呆れた顔をするロボロ。もう5分経ったのだから良いだろう帰りたい。そんな気持ちになりながら動かない脚を必死に動かそうとするとヒョイとロボロに軽々しくお姫様抱っこをされた。驚いてジタバタと暴れるAにロボロは溜息を吐く。
「脚動かへんって言うから部屋まで送ってやるって言ってんねん」
収容違反になるのでは無いかと考えたが、ロボロの筋肉には勝てずにそのままAは部屋まで送られる。収容違反したら絶対に神野に言いつけてやるとロボロに伝えれば一瞬ビクッとような顔をした。ロボロは何か神野にトラウマがあるという事が窺える。
「……ほんま、お前栄養失調とかで他の奴等に殺される前に死なんとちゃうん」
先程までの刺々しい雰囲気は何処へやら、Aの事を本当に心配しているような優しい声がロボロから発せられた。
『そんな簡単に死にませんよ、人間って』
ロボロにとっては人間なんて簡単に死ぬ存在なのだが、安心させるようにAはロボロに縋り付く。取り敢えずは生きるのが目標なのだ。此処まで生き延びる事が出来たのだから後は何か起こらないと死ぬ事は無いと考えているのである。但し、今からは人外達に死ぬ程愛されるという事にAは全くもって気付かなかった。
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