▶︎気付いた代償 ページ10
別にこんなもの治さなくて良いのだが、コネシマのあの怯えた様な目を向けられたら行くしかないかと医務室へと足を運ぶ。3回ノックをすれば優しい、「は〜い」と言った声が聞こえた。何ともまあ、こんな所に居てはいけない間延びした人間だと思う。
【神】と書かれた紙面によって顔は見えないが、薄水色の優しい髪色と声音はカウンセリング向きだとすら感じる。
『初めまして、特別研究員になりました。周防 Aと申します』
「聞いてるで〜。宜しくね、Aちゃん」
『早速なのですが治療して欲しくて……脱げば良いですか？』
「ちょっと待って！！」
別にAにとっては何を見られようが関係無い。幸いにして純情は捧げてはいないが、貧相な自分の身体に価値は無いと思っている為に神野の前で服を脱ごうとすれば慌てて止められる。神野自身は特別女という存在に興味が無いのだが、それはそれとしてモラルとして流石に不味い。
「俺はね、人間やないんよ。人間に対して害を為さない上に全ての情報を開示したから人間の味方になってるだけで。昔呼ばれた名前はしんぺい神。……俺は寿命を吸い取って人間の傷を治すしか出来ひんねん」
『寿命、ですか？』
「そ。寿命って言っても俺が力を使ったら治癒の為に深い眠りに落ちるっていうのが実際なんやけどね。もし今日を無事に生き残る事が出来たならおいでや。いつでも歓迎するから」
まだ半数以上観察が残っているのだ。何ならまだ1人も赤色(やばい)の部屋に入る事が出来ていない事に気づいたAは深く絶望する。何なら1日2回しか入れないのにも関わらずこんな場所を進めたコネシマにすら怒りを覚えた。それ程までに自分の傷痕がどれ程痛々しいものかに気付いていないAに対して困った様に優しく微笑みかけた。
「俺がついて行けたらええんやけど、俺もこの部屋から出られへんし、出たとしたら収容違反になってまうからな」
『もし私の手が無くなっても這いずって此処に来ます』
「そうなったらAちゃんは30年はおねんねせんとあかんくなるから気を付けてや」
ひゅ、と息が漏れる。30年経ったら兄は既に亡くなっているかもしれない。流石にマズイと神野にまるで起き上がりこぼしを傾けた瞬間のように何度も頷き、医務室から退室した。因みに、医務室から退室5分後、そういえば神野先生にカップケーキを預ければ良かった。とAは膝から頽れた。
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オバケ(プロフ) - 続編が8回…！？もう一回遊べるドン！×8は嬉しすぎます。無理のないよう僕たちに尊いを供給してください、お願いします！！ (4月30日 21時) (
レス) @page50 id: db93c912f5 (このIDを非表示/違反報告)
n(プロフ) - すごく面白かったです…！！応援してます！ (4月13日 6時) (レス) @page50 id: 55db97e30c (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - なーとどさん» ありがとうございます……！！続編は少しだけ手直ししているのですが、ぼちぼちと更新していこうと思っております！！ (4月10日 17時) (レス) id: bdf8650039 (このIDを非表示/違反報告)
なーとど(プロフ) - この作品に出会えたことに凄く感動してます！！続きいつまでも楽しみに待ってます！ (4月10日 16時) (レス) @page50 id: 13e99d6a75 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - アホですさん» ありがとうございます！！面白いと言ってもらえて感無量です……！れ (4月9日 17時) (レス) id: bdf8650039 (このIDを非表示/違反報告)
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