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「……………つめたいわ」
「そりゃぁな」

一通りこの汚ぇ人間の顔を触り尽くしたかと思えば、手を離してそんなことを言いながら吐息をかけたり、両手を擦ったりして暖めている。

そうした後にまた顔を触って怪訝そうに眉をひそめるもんだから、不思議だ

親があんなんだから遺伝子的に変な感じの物好きなのか、親の姿を見てそうなったのか

まぁ普通とは言いがてぇ娘だし、考えたってこいつの心理は知れねぇ

知りたいと思えるほどの仲でもねぇし

「私ね本で見たことあるのよ」
「…………なにを?」
「それを」

と言って指さしたのは両手足に付けられた枷

「一番こわしやすい、ってあったのよ」
「そうかい。でも生憎そんなことができるような体力なんか俺にはねぇよ」
「…………ならちょっと待ってて」

そう言って庭の方面に向かっていった娘

知らない人がいるっつってここに来たはずなのに、考えなしに動いて良いのかとも思ったが何ともないような様子ですぐに帰ってきた。

両手で柄の部分の長い、草を切るはさみを持って。

側に来た娘が持つそれは近くにあるとよく分かって、前世の学校でよく草や木の剪定をしていたおっちゃんが持ってたやつによく似ていた

「これなら、こわせそうよね」

俺の両手足についてるのは、枷同士がくっついておらず一個ずつはめられている。
パッと例として思いつくのは、鬼のキャラクターが足首だったり手首だったりに付けてるのと似たようなやつだ

それぞれからのびる4つの鎖の終わりが壁の所で合流しているような感じで、ペットに使うお金は安くしたかったのね、と娘が言ったのだからきっとそうなのだろう

脆かったのだろうか、娘の精一杯の力だけで鎖はバキンと大きな音を立てて、俺は自由になった。
こんな簡単に、なってしまった

あっさりとしてしまう身体の解放が、心に形が定まらない不可思議な恐怖と不安を巻き起こす

「どぉ?私ね、いがいと力があるのよ」

死んでいる瞳は相変わらずだが、今までの無表情からは想像できないほどに顔が動くのだということに俺は意外性を感じた。
ふふん、とドヤ顔をしているのは年相応で可愛げがある

「んで、どうして俺なんかを自由にさせた?俺は譲さんのいう知らない人をどうこうする力なんてねぇよ」
「……そう、それはざんねんだわ」
「あぁ、残念なことだよ」
「お名前はあなたにあるのかしら?」
「話が繋がってねぇよ譲さん」

キョトンと首を傾げる娘。
首を傾げたいのはこっちだっての……

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作者名:ねっこんこん x他1人 | 作者ホームページ:http://nekokobuta  
作成日時:2024年3月20日 2時

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