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立ち上がるときだけが強烈に痛ぇだけで、歩いていりゃさほどの事でも無かった
体重をかけるときは確かに痛ぇけども、別に我慢できる程度だし
医者の背中を追って歩いているとき、さっき頭をよぎった疑問がずっと思考の海を泳いでいる
昨日痛くなかったのはどうしてだ?
とりあえず色々と思い返してみる。
朝からずっと雪が降りしきる外にいるだけで、馬車の荷台に乗せられた後も同じくらい寒かった
フューラー様達の屋敷に連れてかれた後は、ずっと緊張しっぱなしで………
………寒さで感覚麻痺か、それとも緊張の所為か…?
確かに今はすげぇ寒いって訳じゃねぇけど……、昨日の屋敷の温度とはあんまり変わらない
というより、今の方が若干寒い……気がしなくも無い
だったら、今痛いのは緊張がほぐれてるからか?
本当なのかが疑わしい優しさを真に受けて、絆されてる?
だとしたら、俺は相当な大馬鹿者だ、本当に。
傷の手当てされただけで、風呂に入れられただけで、食事が出されたから、一日も満たない時間の中で痛いことが無かったからって
ほんっとに単純で馬鹿みてぇ
前準備とかにしては丁寧すぎるような気もするけど
だからってそれが本物な訳があるかっての
……怪我のこと思い出したら包帯が巻かれてるところがムズムズしてかゆいし、なんか段々痛みが強くなった気がし始めるし
散々だ、馬鹿すぎる自分に反吐が出る
このことを考えるのはやめよう。
……そういえば、顔洗いと歯磨きって言ってたけど。
嘘とか本当とか、そんなうんぬんなことはさておいて
シャンプーも、ましてやスプーンの使い方すらよく分かっていねぇ俺に、
そんな高等な動作が果たして出来るんだろうか?
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作者名:ねっこんこん x他1人 | 作者ホームページ:http://nekokobuta
作成日時:2024年3月20日 2時