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トントンは非情に困っていた。

すぐ下を見ればわんわんと泣いているエニス

もうちょっと前を見れば大泣きのアル

泣き声しか聞こえないこの空間で、
トントンは「どうすりゃええねん」と非情に困っていた

このままではこっちまでつられ泣きしてしまいそうだ、と言うことに気づいて急いでインカムで応援を呼んだ

「ひとらん!グル氏!今すぐ食堂に集まれ!!」
『え、嫌なんだが』
『今、外道丸の餌やりの最中なんだけど』
「アルとエニスが何故かギャン泣き」
『承知したゾ!!』
『ちょっと待って、ほんとにすぐ向かう!!』

インカム越しでも分かるほどにガタガタという音が聞こえた。

多分2人が来たところで、アルとエニスは急に人が増えたことに更に困惑して泣く未来しか視えなかったため

グルッペンにはコッソリ買いだめしてるお菓子を、ひとらんらんには癒やしになるもの、を持ってこさせた

そして僅か十数秒後に、大量のお菓子と可愛い兎を数匹、をそれぞれの両腕いっぱいにして2人は現れた

その3人の中で会話は要らなかった。
互いに目を合わせて、コクリと頷いたのち

グルッペンはエニスの側に、ひとらんらんとトントンはアルの側に寄りそった。

「どうして泣いているんだ?」

グルッペンはしゃがみ込んでエニスと目線を合わせる

彼の手によって涙が拭われたとき、エニスの視界には両腕いっぱいのお菓子が見えた

それらは彼女にとっては初めて見る庶民的なものであったが、どれもこれもが美味しそうだ

「好きなだけ食べていいぞ」

目を輝かせていたエニスにそう言えば、彼女は嬉々とした表情でお菓子の山を見つめた

手に取ったのは板チョコ

お上品に一粒ずつ割り、口に入れれば
その砂糖の塊にエニスは嬉しそうに目を細める

まだしゃっくりはしているが、なんとか事情を聞けそうだ

「どうして泣いてるんだ?」
「アルに、ごはんを食べさせてあげてたら、急に泣きはじめて……どうしたらいいのか分からなくて…」
「何故アルが泣き始めたのかは、分かるか?」

エニスはふるふると首を横に振った

こいつはつられ泣きしただけのようだ、とグルッペンは安堵して、アルの方を見やる

2人は質問攻めは良くないだろう、と思い白色の彼が連れてきた兎たちに触れさせて落ち着かせようとしていた

それでもアルは泣き止まず
2人は怯えられる覚悟で背中をさすったり、涙を拭くために手を伸ばす

それでも、彼は泣きじゃくって混乱しているからなのか、特別大きな反応は見せなかった

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作者名:ねっこんこん x他1人 | 作者ホームページ:http://nekokobuta  
作成日時:2024年3月20日 2時

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